富士山噴火したら住民の避難は車か徒歩か? 観光客はどうする? 新たな避難計画を公表【静岡発】

テレビ静岡

2023年3月31日 金曜 午前6:55

富士山の噴火に備える新しい避難計画が2023年3月 公表された。「車」避難による渋滞を防ぐため、一般の住民は火口に近い地域を除き、原則「徒歩」で避難することが加えられた。また観光客に帰宅を促す時期も追加され、周辺に住んでいない人も確認しておく必要がありそうだ。

ハザードマップ改定で避難計画も見直し

富士山の噴火をめぐっては2021年に17年ぶりにハザードマップ(どんな火山災害がいつ、どこで発生するかの被害想定)が改定され、従前と比較して、より短時間で、より遠くまで噴火現象の影響が及ぶことが判明した。

想定される溶岩流の到達範囲も大幅に拡大した。

このため静岡県・山梨県・神奈川県などでつくる対策協議会は避難計画の見直しを進め、2023年3月29日 新たな避難計画を公表した。

「徒歩」も加え「車」避難の渋滞を防ぐ

新たな避難計画では溶岩流などに備え、火口に近い地域を除き、一般住民は渋滞を防ぐため原則「徒歩」とすることも加えられた。
溶岩流より速い火砕流や大きな噴石が襲うおそれのある火口に近い地域は、これまでの避難計画と同じで「車」避難、また一般住民が「徒歩」避難するエリアでも、高齢者など要支援者は「車」避難だ。

子供を守るために

避難対象エリアでの訓練

また噴火警戒レベルが入山規制となる「3」に引き上げられた場合、避難対象エリアにある全ての学校と保育施設は原則「休校」となる。

静岡県・川勝 平太 知事 :


1人も取り残さない場合に、子供の安全を最優先にしなければならない。

市町で避難計画を立てる時に、そこを入れ込んだ形で避難計画を作ってほしい

さらに、溶岩流が24時間以内に到達する地域にある学校などは、保護者への子供の引き渡し方や集団避難の方法などをまとめた避難確保計画の作成が求めらる。

避難計画見直しのポイントは?

今回、富士山火山防災対策協議会がまとめた新たな避難計画のポイントを確認しておこう。

ハザードマップ改定で被災エリアが拡大

2021年にハザードマップが見直され、溶岩流の想定では、到達する可能性のある範囲が以前よりも拡大し、新たに沼津市や静岡市それに清水町も含まれた。そしてこのハザードマップをもとに、避難計画の見直しが進められてきた。今回見直された主なポイントがこちらだ。

対象エリア別の避難の手段

従来の避難計画では避難対象エリアの全員が車で避難することになっていた。

上の図で火口となるピンクや、火口に近い赤の地域は今回も車での避難だが、それ以外の地域、溶岩流の到達まで3時間以上かかるエリアは、渋滞を防ぐため車ではなく、原則「徒歩」で避難することも加えられた。


高齢者など支援が必要な人たちが車で速やかに避難できるようにするためだ。

また避難対象エリアにある全ての学校や保育施設などは、入山規制となる噴火警戒レベルが「3」に引き上げられた時点で「休校」となる。

富士山の噴火警戒レベルを5段階だ。


「1」は火山活動が静穏な状態で、住民や登山者への規制はない。2023年3月現在も「1」だ。


「2」は火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生したり予想される段階で、火口周辺への立ち入りが規制される。


今回の見直しで 休校の基準となる「3」は、居住地域に影響しない程度の噴火の発生や地震の増加が想定される段階で、登山が禁止される。


「4」は居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される段階で、高齢者などの避難が始まる。


「5」は噴火が発生したり切迫した段階で、一般住民も避難もする。

そして3時間以内に溶岩流が到達する地域の病院や高齢者施設、また24時間以内に溶岩流が到達する地域の学校と保育施設は、それぞれ避難確保計画を作成し、市や町に届け出ることが新たに求められる。

富士山の登山者

さら今回の見直しでは、観光客等の帰宅時期についても盛り込まれた。帰宅困難者の発生を防ぐために、早期に帰宅を促すことになった。


具体的には、富士山5合目から上に滞在する登山者には、「火山の状況に関する解説情報(臨時)」が発表された時点で、下山指示を行う。


「火山の状況に関する解説情報(臨時)」は、噴火警戒レベルの引き上げ基準に達していないが、今後の活動によっては引き上げる可能性があると判断した場合などに発表される。

富士山の登山者

また、5合目より下の登山者や観光客に対しては、噴火警戒レベル3で帰宅を呼び掛ける。

観光客自らの安全確保になるだろうし、レベル4で始まる高齢者などの避難の際に、車が混雑することも避けられるだろう。

富士山

避難対象エリアの市町や関連施設は、今回見直された避難計画をもとに、今後 個々の避難計画をつくる。

住民はハザードマップを参考に、自分の地域の被害想定を確認しておくといいだろう。

また富士山を訪れる観光客も新たな帰宅ルールを心得ておく必要がありそうだ。

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